夜はオーロラ(子どもたちへ)

詞:谷口智也

工場の陰から汚れた犬が
ちっぽけな夢を拾い出してきた

君は何か勘違いをしているよ
君は何か勘違いをしているよ

煤けた闇は僕の清潔なシャツを
汚して 汚してしまった

街は今日もざわめきを忘れないぜ
夜はオーロラ きらきらぴかぴか

おおオーロラ
おおオーロラ

ささやく傍からこぼれてゆく灯火が
ひっそり息をついた 段々夜になる

街は今日もざわめきを忘れないぜ
夜はオーロラ きらきらぴかぴか
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この演奏は2010年当時だったかと思う。
深夜のスタジオで一発録りをした記憶があるが定かではない。
楽曲としてはメロウなトーンの静かな息遣いをイメージした曲である。
バンドとして音数を削る試みをし始めた頃で、もう音を埋めることは考えていない。
いかにスカスカにしても楽曲が持つかということをひたすら考えていた気がする。

タイトルは「夜はオーロラ」、副題に「子どもたちへ」が入る。
この曲は「子どもたち」にあてた童謡のつもりだったので、それを副題とした。

僕の作る曲には「夜」という単語が多い。
タイトルでいったら半分くらい「夜」が入る。
本当は朝の方が好きだけど、夜には色々な表情やバリエーションがある気がしていて、「本当の自分になれる時間」みたいなイメージもある。

作詞作業は難しくてなかなか完成しないことが多い。
苦心して作るせいか、完成するとその反動で飽きてしまったり嫌になったり一気に思い入れがなくなったりすることがある。
「夜はオーロラ」を書いたとき、本当に良い歌詞が書けたと思った。
そして今でもよくできているなと思える数少ない詞のひとつである。

僕は当時シャガールやクレーの絵が好きでそういう景色を言葉にしたかった。
油絵の具の暖かさや素朴なトーンだったり、淡く情景的であったりするものを想像したのである。
だからそういう意味でもこの曲は「宇宙線が視ている」とか「夜のジャズ」と同じ詞世界にある作品だと思う。
こういう情景的な世界観に好き嫌いはあるとは思うけど、個人的には悪くないと思っている。