宇宙線が視ている

詞:谷口智也

君は今日もくたびれたら 窓辺に凭れて
ぼんやりした気分でいる

夕暮れの先 薄闇に光るテールランプが
段々と近づいてくるような 心地好いサウンドに変わって

黄色く満たすような その鮮やかに
心を奪われている
エイトビートを効かすようさ その鮮やかは
君を連れてってしまいそうなんだ

皆が君のやりたいことをやってしまうから
それで君は一体何をしようかって思っているんだ

夕暮れの中 暗がりに光る君の心は
誰かの気持ちにフィットして どこかでキャッチされるんだ

きっと君は言うだろうよ 信じられないって
瞳を輝かせて
エイトビートを効かすようさ 鮮やかは
僕も連れてってくれたらいいんだ

きっと君は言うだろうよ 信じられないって
瞳を奪われながら
エイトビートを効かすように その鮮やかは
僕ら連れてってくれたらいいんだ

連れてってくれたらいいんだ
連れてってくれたらいいよね
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minimals「宇宙線が視ている」(live)

この曲は大学生のときに作ったからminimalsの全楽曲の中でも一番古い。
現在「恋をしようよジェニーズ」のギターボーカルをしている桜井君とはその当時大学のサークルで一緒にバンドをやっていて、よく集ってなんとなく2人で音合わせをしたりしていた。
そんなあるときに「メロディがあってまだ歌詞は出来てないんだけど」みたいなことを言いながらこの曲のサビのメロディを唄ったら「これはいいメロディだ」と褒めてくれたので、それで俄然やる気を出して書き上げた記憶がある。
それがなかったら今頃お蔵入りしていたかもしれない。

だけどサビのメロディだけが先にできてそれ以外何もなかったから、他の部分の構成も歌詞もなかなか決まらなかった。
それこそAメロから何十回も書き直していて、最初の頃書いた歌詞もメロディも現在のものとはかけ離れている。

僕は高校生のときにギターを手にしてからすぐにオリジナルの楽曲を作り始めたけど、歌詞について正面から向き合ったことはなかった。
歌ったときの語感でなんとなくそれっぽいフレーズを並べたりして出来上がりにしていた気がする。

おそらくそういう作詞法もあるにはあるのかもしれないけど、きっとそれだけではいけない。
この当時に僕が作詞した「宇宙線が視ている」と「団地のゲーム」という楽曲は、そういう点で初めて「作品」としてコンセプシャルな意識のもとに作ろうと思って「作った」歌詞である。
大変に難産したお陰で完成したときはとても嬉しかった(「粘土細工で良い造形物を作れたときのように」嬉しかったのをすごく覚えている)。

最終的に歌詞は、井伏鱒二の短編「屋根の上のサワン」の世界観(その頃とても好きだった作品で、その油絵の具のような空気や匂い、暗さみたいなもの)を目指したが、結果的にそれを感じた人は少ないと思う(僕が今見ても全然似つかない)。
結局それだけではうまくいかなくて、当時の僕がぼんやり思っていたことを色々混ぜ合わせることで落着したからである。

尚、この「宇宙線が視ている」というタイトルに特に意味はなくて、その頃の朝日新聞の夕刊記事の見出しに「宇宙線がみている」と書かれた学芸記事がでかでかと載っていて、それがとても印象に残っていたのでそのまま曲のタイトルにした。

この曲を好きだと言ってくれる人はとても多くて、苦労した甲斐もあって単純にすごく嬉しい。できればこれからも好きでいてもらいたいと思う。